社長のつぶやき

2019/05/28

『今月の一言』(2019/06/01)

 下のグラフをご覧ください。日本の最大の難関課題は、人口問題だということがよく分かります。20年後、第2次ベビーブーマーが前期高齢者になり、労働人口は一気に減少します。0歳から50歳までの人口より、60歳以上のお年寄りの方が多い、まさに年金受給国家になります。誰がその年金を払うのでしょう。未来の話だと思わないでください。20歳の人が40歳、40歳の人が60歳になるだけ、ほんの少し先の話なのです。



出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ(http://www.ipss.go.jp/)

 5月の連休中に時間もあったので、昭和28年に公開された小津 安二郎監督の映画『東京物語』を観ました。広島県の尾道で定年後慎ましく静かに暮らす老夫婦の話で、夫は72歳、妻は68歳、子どもは5人いたが、長男は東京で開業医、長女は東京で美容院経営、次男は戦死(私が子どもの頃は、父親が戦争で亡くなった人はざらにいました)、その東京にいる息子たちを訪ね老夫婦は上京したが、2~3日で居場所が無くなり、1週間も経たずして帰郷、都市生活者と田舎の旧来型生活者との世代間の葛藤、文化摩擦を描いています。

 尾道に帰郷後、母親は脳梗塞で倒れ、3日ほどの昏睡が続いて意識が回復することなく亡くなります。長女は着物などの形見分けを要求、三男は大阪で国鉄勤めのため夜行列車で帰っていく。葬儀の後がらんとした自宅で、同居している末娘は、「親子ってこんなものじゃないはずよ。」と言い、戦死した次男の嫁は、「大人になると、みんな自分だけの生活というものができてしまうから仕方ないのよ」とつぶやきました。 映画の最後に、笠 智衆演じる老父は、次男の嫁との会話の中で、「不思議なもんじゃなあ。お義理で付き合ってくれる実の子たちよりも、心の通い合った他人の方がよっぽど親切じゃ。」と言って終わります。小津監督はこれが言いたかったのだと、この最後の一言が心に突き刺さりました。

 小津監督は、将来の高齢化社会の予兆と世代間の断絶を予測させましたが、我々の足元はどうでしょうか。まず、映画鑑賞人口やスポーツ観戦人口が増えているといいます。空き家も増え、「孤族」は若者も高齢者も増え、人と人との絆が弱くなっています。一方、東京・南青山では、児童相談所を含む複合施設「港区子ども家庭総合支援センター」の建設に一部の周辺住民が猛反発、理由は「子どもの声がうるさい。なぜここに建てるんだ」など理由にもならない反対で、区も困っていると報道されていました。子育て世代が多ければ、建設を反対することはほぼないはずです。人は自分を基準に判断します。高齢化社会は非常に偏った民主主義なのでしょう。先ほどの将来推計人口を見ても、ただでさえ少ない年少人口、生産年齢人口の30歳台までは田舎を選択しない可能性が高い。2040年には、全国の自治体の半数近くが「消滅」の危機にさらされるといわれています。自営業者が急速に減っている現実。自営業者の割合は、1981年は27.5%だったのが、2018年には10.3%(総務省労働力調査より)。農業、飲食業、駅前商店街、中小の工場など、自営・家族労働市場がどんどん減り、シャッター通りのオンパレードになっていますね。残ったものはファミリーレストラン、牛丼屋などのチェーン店、服屋も上場企業運営の店で、地元の店はほとんどありません。大多数がサラリーマンなのです。それほどみなさんが会社員を選ぶようになり、自営業は嫌だという人が増えているのです。

 しかし、統計的にサラリーマンの人たちが仕事が好きで楽しいという数字が上がったという話は聞きません。それではなぜ自営の道を選ばないのでしょうか。新約聖書の『マタイによる福音書』に、「求めよ。さらば与えられん。尋ねよ。さらば見出さん。門を叩け。さらば開かれん。」(強く強く求めなさい。そうすれば必要なものは与えられます。探しなさい。そうすれば探しているものは見つかります。門を叩きなさい。そうすれば入りたい門は開かれます。)とあります。自らの人生を自らで創り出す人が、急速に減っているのです。企業社会においても、現状維持は後退と同じです。自ら創り出す志の高い人材を当社は求めています。

 まだ詳細を公開することはできませんが、現在当社はある仕組みを検討中で、新たなビジネスモデルを創り出そうとしています。人に燃やしてもらうのではなく、自ら燃える人材を求めています。みんなで強い強い思いを持って、新たな未来を創造したいものです。

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