社長のつぶやき

2018/09/27

『今月の一言』(2018/10/01) NEW

 9月7日、名古屋でブラジルのコミュニティのみなさんが中心となったイベント「ビジネス・プレス・アワード・ジャパン2018」が開催され、日本で活躍している19名が表彰されました。30代~40代前半の若手経営者が中心となる中、70歳近い私は少し居心地の悪さはありましたが、彼らが赤ん坊の頃から仕事をしていたこともあって、「ご先祖様」的なもてなしをしてくれ、しばらくの時間一緒に楽しませていただきました。

写真提供:PORTAL MIE

 1985年にブラジルの軍事政権が倒れ、文民政府が樹立した時、誰もがブラジルはきっと良くなると思い、期待が大きかったが、その分落胆も大きく、大量の日系人が日本を目指すこととなりました。2000年辺りまでは日系人社会は互助を基軸にした共同体的性格を持っており、ITバブル崩壊時に我々は相当量の日系人ホームレスが出るだろうと予想しましたが、家族、親戚、友人でルームシェアをするなど包摂的な社会が残っていたおかげでホームレスになる人はほとんどいませんでした。今はどうでしょうか。日本人のように一人ひとりが自分の自由な意思で生き方を決め、自己責任、自己決定、自己実現という個人主義が蔓延、助け合い社会どころか家族まで分断が始まり、日系人社会もお互いがお互いに無関心な「孤族」に、そして「個族」になりつつあります。

 30万人近い日系人が限られたパイを取り合い、誰もが自分の権利の最大化を目指す、経済学で言うところの「共有地の悲劇」が始まりました。来日する日系人は増えていますが、日系人マーケットは縮んでいます。子どもが小学校、中学校に行くようになると一気に食事は日本食志向になり、人口は増加してもブラジルマーケットは縮小しています。

 今こそみんなが連帯して日本人マーケットに切り込み、日本社会に食・考え方・文化の多様性、違った価値観、彼らにしか出来ないブラジリアンビジネスをアピールしていく時なのです。しかし、彼らにとって競争相手は同じ日系人で、残念ながら日本人ではありません。1億2,000万人マーケットではなく、30万人マーケットなのです。

 少子高齢化による日本社会のダメージは並大抵ではありません。企業の休廃業・解散件数は倒産件数の3倍以上、過疎地域の人口は20年前と昨年を比較すると、島根県約11%減、秋田県約17%減、高知県約12%減と目を当てられないほどの惨状です。20年程前からの出生数をグラフにしてみると(図1)、出生者は20年後20歳になるので、未来をほぼ占うことが出来ます。消えていく地域、消えていく産業もほぼ分かります。日本のゆがみは日系人のみなさんにとって最大のビジネスチャンスなのに、あまり関心がありません。日系人のみなさんも同じです。30数年前から始まった出稼ぎ、第一世代はすでに老境に入っています。しかし、新たな次世代がどんどん育っています。

 私は、日系人のみなさんにこんな思いを伝えました。「1986年から1990年始めにかけて面接した人たちは、凄まじいインフレや政府の無策に本当に苦しんでいました。やむを得ず来日しても親の顔を潰してはいけないと親の実家に顔を出すことはおろか連絡もしませんでした。その誇り高き日系人が、お父さんやお母さんが苦しんだうえ決断したその思いを今一度噛みしめ、小さな社会のみんなが連帯し、今一度『ジャポネス・ガランチード(=信頼できる日本人)』日系移民の労苦が勝ち取った信用力を日本でも生かし、成功してください。」


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