社長のつぶやき

2018/07/03

『今月の一言』(2018/07/03) NEW

 6月19日、九州経済連合会主催の「外国人介護士受入れセミナー」にパネリストとしてお声がけいただき参加しました。短い時間でまとめてお話しするのは技術が必要ですね。伝えたいことがほとんどお話しできませんでした。

 私の担当したテーマは、「技能実習受入れ現場における注意点とその対策」でしたが、外国人技能実習制度の介護職種の基本的考え方としては、「外国人介護人材の受入れは、介護人材の確保を目的とするのではなく、技能移転という制度趣旨に沿って対応」とされています(厚生労働省所轄「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」より)。当社に関わりの深い日系四世の受入れも、新制度では、「日本と現地日系社会との結付きを強める架け橋になる人材を育成する」ためであり(法務省「日系四世の更なる受入れについて」より)、労働者確保のための制度ではないとされています。

 この趣旨に沿った考えで受入れている企業が本当にあるのでしょうか。技能実習で団体監理型(企業単独型もありますが、全体のわずか3.9%)受入れ企業は、従業員数1~10人の企業が50.1%、10~49人の企業が31.6%(JITCOデータより)、実に81.7%が従業員数49人以下の企業なのです。その多くが海外に現地工場を持っていないのに、「技能移転」を目的に受入れるとしており、まさに論理矛盾状態です。

 日系四世の在留は最長5年間(技能実習生は1+2+2+5年で都合10年、最後の5年間は特定労働)、対象年齢は18~30歳、家族帯同は認めないとなっており、68歳の私ならともかく、お金(技術?)目的で10年間働いて、宿舎に帰ってゴロゴロするだけの何の潤いもない生活に耐えることの出来る人がどれだけいるのでしょうか。

 ついでながら、技能実習生にとって雇用保険は何の意味もない掛け捨て保険です。しっかり払っても、ビザ満期日が帰国日になる技能実習生に失業保険が支払われることはありません。雇用保険が原資のキャリアアップ助成金も技能実習生は支給対象外です。厚生年金は、帰国後2年以内に脱退一時金の請求ができますが、金額はほぼ3割カットされ、加入期間36ヶ月で頭打ちになります。さらに、20%の所得税が源泉徴収されます。技能実習生は大多数が20~30代のため、多くが交通事故や労働災害、この事故や災害の医療費は社会保険から支払われることはありません。20~30代がもらえる大きなお金、出産育児一時金は、技能実習生は妊娠・出産が禁止されているので(これも変ですよね)、無理やり産んでも子は無国籍になるため自重せざるを得ない。したがって、これも支給対象外です。
 (これらは全て私個人のつぶやき、ぼやきであって、会社としての見解ではありません。行政のみなさんは聞かなかったことにしてくださいね。)

 日本人は単一民族、単一言語(厳密には違います)で同調意識が強く、経済の成長時は一社一魂で突き進みますが、現代のような成熟期には目標を見失い、緊張感もなく、怠惰な日常を過ごすようになると言われますね。次の世代は我々の所作を見て育ちます。聖書やコーランを読んだことがありますか。大きなお世話だと思うくらい分かりやすい言葉で書かれ、小説でも読んでいるような気持ちになりますね。あの二つの宗教は、どちらかと言うと生活規範ですよね。仏教はいかがですか。私は仕事柄よく葬儀に参列しますが、ほとんどの人はあのお経は何を言っているのか分かっていません。でも、あのお経がないと死者を見送る荘厳な心持ちが盛り上がらないような気がするのですね。仏教の足らざる生活規範を神道(神)が補ってきた日本のモラルですが、成長社会から成熟社会を迎え、大きく揺らいでいます。キリスト教国ではあり得ない若い青年の足を広げ、ふんぞり返って座る傍若無人な電車内の態度、アウシュビッツでもあり得なかった満蒙開拓団逃避行時の子どもを捨て、殺して逃げた姿、さまざまな事情があったにせよ、西洋的騎士道(弱者を守る)とは相容れないものを感じます。日曜日に放送されているテレビドラマ「西郷どん」のように、武士道が規範になった強者(殿)のために自己を犠牲にする、これが根底にあるのでしょうね。

 私が冒頭のセミナーの中で、「日本人が外国人を受入れるには覚悟が必要だ」と申し上げたのはそんなところにあったのですが、それを2~3分でまとめるのは至難の業でした。表現力を磨く、簡潔に伝える、この能力は、現在68歳の私が何歳になれば一人前になるのでしょうね。

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