社長のつぶやき

2018/03/27

『今月の一言』(2018/04/01)

 当社の事業にかかわりの深い、日系人の四世問題がいよいよ大詰めを迎えています。2月17日(土)付のブラジル邦字紙「ニッケイ新聞」に以下の記事が出ていました。

 日本時間の23日、法務省が日系四世の就労可能な日本での在留資格を与える新制度についてのパブリックコメント(意見公募)を始めた。日本と日本国外の日系社会との結びつきを強める「懸け橋」となる人材育成が目的の制度だ。四世が日語習得や日本文化の理解を目的とする活動を行うための活動資金を補うために、四世の就労活動を可能にするという考え方だ。パブリックコメントは23日から2月21日まで実施される。この結果を踏まえ、3月末までに法令を発表、施行する見込みだ。
受け入れ対象となる四世は、基本的な日語を理解できる語学力(日本語能力試験N4程度)を持つ18~30歳。在留資格は「特定活動」となり、最長で5年の日本就労が可能。受入れ枠は毎年4千人程度。家族帯同不可。  2年以上在留する場合は日語能力の向上(N3相当)が、3年以上の場合は日本文化及び日本国における一般的な生活様式の理解が十分に深められていることが求められる。確認方法の詳細は今後定められる。
 日本滞在中の生活費を稼ぐ仕事(風俗関係は不可)があること、国民健康保険などに加入すること、健康で素行が善良であることも求められる。
 本改正の目玉は「日系四世受入れサポーター」の存在。親族やホストファミリー、雇用主などにサポーターになってもらうには、最寄りの地方入国管理局に出向いてもらい、在留資格認定証明書を取得してもらう。その認定証をブラジルの四世に送付し、四世が必要書類と共に総領事館にビザを申請する流れ。
 サポーターになれるのは過去に出入国に関する法令等の違反、不正をしたことがなく、四世の活動支援を確実かつ適切に提供できる個人または団体。四世から活動報告を毎月聞き、入管にその活動を毎年報告する。サポーターはボランティアであり、金品の授受は認められない。
 団体の場合は対象の四世が居住する地域で、国際交流または地域社会への奉仕を目的に活動する非営利団体であること。派遣会社は不可。

 この制度は、18~30歳の日系四世の人たちを対象として「特定活動」に限りなく近い新たな就労制度で、従来の1~3世向け「定住者」「日本人の配偶者等」とはまったく別の制度です。3月末の正式な政令発表を前にいくつかメディアの取材を受けましたが、このルールで来日する日系四世の人がいるとは思えません。日本語学習意欲の高い人材を技能実習ビザで採用したほうが成果が出そうです。

 10年に一度の景気・制度という大波に翻弄され、ジプシー(移動型民族)化した日系人社会。リーマンショックの時に起こった日系人家族の分断が、今度は18歳という年齢を区切って始まろうとしています。10年前リーマンショックが起こった時に5歳だった子どもは現在15歳。彼らは日本語を忘れていても来日が可能です。一方で、15歳だった子の多くは10年経った今でもブラジルで適応が難しく、しかし来日するには高い日本語力(読み書き)が高いハードルになります。初来日する日系四世の人たちは日本語力ほぼゼロ、日本語能力が壁となり親子はちぎれていくことになるでしょう。20年以上前のことですが、パラナ州の説明会でとある女性に出会いました。すでに息子を日本へ送り出し、今回は娘を送り出さざるを得なくなった彼女からポツリと出た言葉が今も忘れられません。「私も親を捨てて出てきたのだから、今度は子供に捨てられるのは仕方ないですね」。これは重い言葉でした。当社の事業は人を扱う、それ以上に命を扱い、人生を預かる仕事です。彼らに手を差し伸べることができない無力さを感じますが「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ(一身を犠牲にする覚悟で当たってこそ、窮地を脱し、物事を成就することができる)」と信じ、事業や活動を続けていきたいと思います。

 先日、島根県雲南市で外国人材活用セミナーを行いました。出雲市で2700人余りの日系ブラジル人が住んでいること、数年後には3500~4000人余りになること、定住・永住ビザと留学ビザ、技能実習を組み合わせれば過疎地域の人口対策、産業振興、地域そのものの再生が可能であることをお話しました。先ごろ発表された安倍内閣の「働き方改革」にも外国人労働者が入っています。昨年生まれた人は94万人、70歳ベビーブーマーは260万人。誰が誰を支えるのか?成熟化、過疎化する日本社会において、外国人材の専門業者には大きな期待が寄せられています。

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