社長のつぶやき

2017/12/01

『今月の一言』(2017/12/01) NEW

 日系・外国籍の方が特に多い地域では、休日にコンビニや駅構内、外国人向けスーパーで座り込んで缶ビールを飲みながら、ひたすら時を過ごしている人を見かけることがあります。そしてこうした人は2~3年前より増えています。

 日本で暮らす外国人の中にも、何らかの依存症を抱えている人がいます。家族の多くが共依存、経済的困窮、暴力などに苦しんで出口の見えない10~30年を過ごすのが依存症です。「地獄を見たければ、アルコール依存症の家庭を見よ」断酒会でも多くの出席者がそう言うほど、凄まじいのです。

 外国のアルコール依存症患者の割合を比べると最も多い国ベラルーシ共和国は11%、次いでノルウェー6.1%、イギリス5.9%に対し、日本は1.1%です(表に出ていないだけで、実際は3~4%くらいと言われています)。日本人には「アルコール依存症向けのセーフティネット」が準備されていますが、外国人は、依存症状に苦しんでいる人がいる事すら気付いていない人がほとんどです。断酒会を行っている自助組織に聞いても「外国人アルコール依存者は相談がないので支援していない。彼らはどうしているのでしょうね」と、まるで他人事の答えが返ってくるのが現状です。日本語が弱い、国籍が違う― それだけで「不幸の見えない化」が進み、地下のマグマのようにたまっていく現状を危惧しています。

 「外国人だから」というだけで、無意識に起こっている差別は他にもあります。ある町役場に従業員用の寮を建てたいと相談へ行くと、「建築確認申請そのものを出さないように」と言われたことがあります。人権意識が薄い町では問題なく申請が通りますが、人権意識が強い街では、外国人が住むことで起こるであろう問題を避ける為に隣地の同意書の提出を求められたり、申請を受け付けてくれません。

 日系人や外国籍の子どもも中学校は卒業しているはずなのに、履歴書が書けない人が当たり前にいます。外国籍の子どもは教育が義務化されておらず、充分な教育を受けることなく成長、社会へ出ざるを得なくなっています。そこに不幸があっても、日本社会は見て見ぬふりができる。小さな不幸が新たな不幸を生み、今も拡大しつつあります。言い知れぬ不安を抱えている日系人に対し、日本政府や行政、そして我々業界人はどんな答えを見出していくのでしょうか。

 こんな人権意識が未熟な日本にも、人手不足解消のために新たな外国人受入れのルール(入国管理法改正)が始まりました。それも今回は大幅なルール改定です。その影響で外国人数の急拡大が予想され、5~10年後に問題は多方面(生活、就業、教育、老後)で噴出しそうです。

 戦後、菊池明子さんが歌った「星の流れに」という歌が流行りました。毎日新聞の投書記事として掲載されていた次の内容に心打たれた作詞家が曲にして、大ヒットしたものです。
 従軍看護婦で満州へ行き苦労に苦労を重ね、1947年にようやく帰国。すでに両親、妹とも亡くなっていました。東京の地下道を寝場所に、食べるものもなく過ごしていたら知らない男が握り飯を2個くれた。その男は翌日の夜も現れ、おにぎりを受け取るとどこかに連れていかれました。以来、私は「闇の女」と世間からさげすまれるような商売に落ちていきました。
この歌は3番まであり、最後のフレーズ「こんな女に誰がした」は当時の流行語にもなりました。

 1980年台後半から始まったブラジルの年間2000%にも及ぶハイパーインフレと日本の1990年に向けたバブル。この二つの歴史的な偶然のおかげで出現したのが「出稼ぎ現象」です。今思えば転換点はいくつもあったように思いますが、残されたものは「こんな日系人に誰がした」です。重い課題を背負った私たちですが、入国管理法改正で開国を目指す日本国にとっても避けて通ることのできない大きなテーマです。この国で「三方よし(売り手よし・買い手よし・世間よし)」を最初に見出した企業が、まさに尊敬される未来企業となることでしょう。

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