社長のつぶやき

2017/03/02

『今月の一言』(2017/03/02)

 ネットで炎上中のニュースに社会学者、東京大学名誉教授・上野千鶴子さんの発言があります。少し長くなりますが、転載させていただきます。

 「日本は今、転機だと思います。最大の要因は人口構造の変化です。安倍首相は人口一億人規模の維持、希望出生率1.8を実現させると言うが、社会学的にみると不可能です。日本はこの先どうするのか?移民を入れて活力ある社会をつくるのか、難民を含めた外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していくのか。どちらかを選ぶ分岐点に立たされています。私は主観的にも客観的にも、移民政策はやめたほうがいいと思っています。様々な要素の中で移民は日本にとってツケが大きすぎ、国民は多文化共生に耐えられないでしょう。だから、日本は人口減少と衰退の道を引き受けるべきで、みんなが平等に緩やかに貧しくなっていけばいい。」

 それに対し、私が所属している移住者と連帯する全国ネットワーク〈移住連〉は猛然と噛みつき、上野さんに対し公開質問状を送っています。彼女の発言の中で「移民を受け入れれば活力ある社会を作る一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にする」とありますが、これば事実誤認と偏見に基づくもので移住連にとっては看過できない発言です。そこに様々な学者や人権活動家がソーシャルメディアに悪乗りし、炎上状態となりました。

 日本の現状と未来を考えてみましょう。日本の総人口を見ると現在の年齢の重心は42歳、高齢化率は現在26.8%で、30年後の2045年は37.7%になります。高度専門技術者中心の雇用が求められる時代になった時、40%近い高齢化を迎えた老人国が新興国相手にリーダーシップがとれるのでしょうか。成長著しい新興国フィリピンの人口動態図を日本と対比してみると、この差は歴然としているのが分かります。さらに、日本国内の外国人受け入れと労働分布図、正規・非正規比率をみると、非正規、単純労働、派遣労働に追い込み多文化共生なんてどこの国のお話なのかと思えるほど、日本の雇用にゆがみが出ています。

 上野先生の主張は、生きるか死ぬかの激烈なコストカット競争をしている自動車産業や繊維産業にとっては現実味のない愚かな議論でしょう。移住連の主張は、外国人人口比率17%を超えた群馬県大泉町に住む日本人の人から見ると、教育コストや生活保護受給者の急増、あげくは地価まで周辺より下がった実に住みにくい不安な町になったのは誰のせいでしょう、と言いたくなるような問題です。

 上野先生と移住連の大激論は、山梨県と静岡県がどちらの県から見た富士山が美しいと競っているようで、移民問題が急迫の問題として国論を二分している移民国家や多民族国家から見ると日本はまだ、ほほえましい国なのでしょうね。





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