社長のつぶやき

2016/12/05

『今月の一言』(2016/12/05)

 2015年9月に「労働者派遣法」が全て許可制の「改正労働者派遣法」となりましたね。
ベビーブーム世代が全員65歳を迎えて多くがリタイアしたことにより、製造業やサービス業などが慢性的な人手不足状態に至っています。2016年1月~10月の派遣会社の倒産は54件、昨年同期を大きく上回っており、来年はその数倍になるとも我々の業界では噂されています。それはなぜでしょうか。
一つは、労働者派遣法の改正で、一般と特定の区分がなくなり、届出制が廃止されたこと。これは、悪質な業者の排除がねらいで、事務所の最低面積や基準資産額、現預金などの資産に至るまで資格要件とされました(当然のことなのですが、今まではザル法でした)。派遣社員のキャリアアップ支援(キャリア形成支援制度)も義務化され、コストが嵩み、事業者の負担がより増えることになりました。
もう一つの大きな要素は、製造業向けの業務請負・人材派遣業界が企業の要請に応えることが出来ず、アジアの国々から来日する技能実習生の急増を許したことにあります。

 技能実習生数の推移を見てみましょう。圧倒的に団体監理型が優位ですが、多くの国では企業単独型での受入れが圧倒的に優位、ここが日本の不思議さですね。


 この2年をとっても、年平均約14%増と実習生は高成長、実習生市場は圧倒的勢いで成長しています。その一方で、業務請負・製造派遣業界は「茹でガエル」状態なのです。

 先日の中部経済新聞にこんな記事がありました。「中部企業で人手不足が深刻化」と題し、建設業界全般に売上高は過去最高を更新する一方、利益面では減益の企業が増えています。特に建築設備業界は熟練を要し、川崎設備工業は仕事を断ることも増えたそうです。
日本空調サービスは、来年バングラデシュ人留学生の採用を決めたといいます。物流業界も大変です。大宝運輸は、1年で運転手376人が21人減って365人となり、高齢で退職する人や同業者間で運転手の奪い合いが活発化しているため、今後も人手の払底状態は続くといいます。

 今まで、人材ビジネスは単なる人の移動ビジネスでした。労働市場が変わったのに同じ業界の中で移動していれば、社会の変化の中で働く人と必要な市場が乖離していくのは当然ですよね。出来れば慣れた仕事で、自分の仕事人生を全うしたい。働く人も会社側もそう願っていますが、それがあり得ないことは、働く人たちも我々管理する側も薄々わかっていますが、今まで見て見ぬふりをしていました。

 リンゴを落とし、万有引力の法則を証明して見せたニュートンですが、アインシュタインは、「それは時間と場所を共有しているもの同士の理論であって、落とした人間と落ちていくリンゴは、時間も空間も共有していない。だからリンゴは落ちている一面はあるが、もう一面を見るとリンゴは落ちていないのだ。」と言いました。これが特殊相対性理論ですよね。

 私はこんな相対性理論を考えてみました。多くの人は落ちていくリンゴの中にいます(新幹線の中と同じ)。それなりに居心地は良く、守られています。しかし、時空を共有していない人が見ると、あと数秒で地面に激突、リンゴは粉々に砕け散ることは明らか、ハラハラドキドキしながら見ています(新幹線から見ると景色はきれいだが、外の世界との共有感はなく、時速270kmで車内のものが飛ばされることはないのと同じ)。

 会社という存在は、危機感を共有して一つにはなかなかなれないものですが、空中分解もしくは激突の手前で外界の変化に気付き、一丸とならないと、我々は過去の産業にならざるを得ません。新幹線の車内と同じで、空間を共有していると隣同士に危機感はありませんが、人材も雇用形式も劣化していきます。今こそ私たちは職業訓練や請負に目覚める時なのです。前回予告していた当社の日系人社会再生戦略については、次回こそ書きたいと思いますのでご期待ください。

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