社長のつぶやき

2016/08/02

『今月の一言』(2016/08/02)

 7月2日から12日までドイツ、オーストリア、ブラジルの3か国に出張、夕食後暇つぶしに滞在先のホテルでテレビを見たり日本語の新聞を読んでいると、参議院議員選挙候補者が次から次へと政策や抱負を連呼していました。
遠い異国に居て臨場感がありませんでしたが、その中で気づいたのは、彼らは「福祉を充実させます。子育てを支援します。」とは言いながら、財源について一言も話していないということです。
「福祉や子育て原資捻出のため増税します」や「国債発行で子どもや孫の世代に払ってもらいます」、「行政職員の削減、議員歳費や舛添前東京都知事のおかげで図らずも露見したいい加減な政党助成金の使い方、ひいては議員の定数削減」についても、暇人の私が見て読んでいる間、誰一人として触れる人はいませんでした。

 そのことをドイツ人に話すと、「ドイツではその議員は必ず落選するよ。政策の多くは微妙な違いやずれがあるだけで、対立すると言っても政策的には55:45を選ぶのか、45:55を選ぶのか程度の違いで、政策と財源を提示してもらわないと有権者は判断のしようがない。日本人は何を基準に選ぶんだ。」と言います。

 日本国の通貨「円」は、基本的に日本国のみでコントロール出来ますが、彼らの通貨ユーロは、超優良国ドイツから財政破綻危機のギリシャを含む玉石混淆の通貨で高度にコントロールされている政治的通貨です。
日本であれば愛知県の利益が北海道に流れても何となく許せるが、ドイツのお金がイタリアに流れるのは許せない。愛知県の人が東京で働くことは許せても、ポルトガル人がドイツやイギリスに来て雇用を奪うのは何となく解せない。
同一通貨の共同体は、同じ民族で帰属意識を共有出来る人たちの間で初めて成立するもので、政党間の争いで多数派が少数派に勝利しても少数派が許せるのは、互いに仲間だという繋がり感、絆が意識できる環境があるからなのです。
多数の言語、多様な民族を有するヨーロッパでは、ドイツ民族が決めたことについてギリシャが「私たちの仲間が決めた」と思えるにはまだまだ多くの時間、歴史が必要です。しかし、円:ユーロは安定しませんが、ドル:ユーロは安定しています。円高、円安と言いますが、動いているのは内向き国家の円のみ。まさに為替は政治の産物だということが分かります。

 ユーロ圏に来てよく分かるのは、日本においては外国人移民受け入れは単純労働市場が奪われること、治安が悪化すること、賃金が下がることを考えるが、EU圏のみなさんは、レベルの高い外国人移住労働者によって疎外される低スキルの自国民を危惧しているということです。
自国民より若く活動的な移民に仕事を奪われるのは困るが、その一方で、今生まれる子どもが成人する20~30年後には人口が半減、子どもの世代がユーロ社会から取り残されることも危惧しており、しぶしぶではありますが、移民受け入れを了解しています。
この微妙なバランスに乗っているユーロ社会を自らの身勝手で根底から崩そうとする英国を許せないと思うのは当然のことでしょうね。仲間だと思えない人たちの中で格差が広がり、それが到底納得できないレベルになった時、どんな現象が出現するのでしょうか。空恐ろしい気がしますね。日本人も他人事ではありません。
パナマ文書にも見られるように、資本は手前勝手に増殖し、99%の一般人の意志より1%の特権富裕層の人たちの思いを優先します。

 私は、起死回生のカンフル剤にならないかとマイナンバー制度に期待しています。
韓国では、マイナンバー制度施行後、個人の税収が30%増えたと言います。この制度は炙り出し機能があるのですね。「個人番号カード」に埋め込まれたチップは膨大な記憶容量があり、個人の医療履歴、生活履歴、資産や所得等経済履歴まで記憶可能です。
パナマ文書に出た資産移転富裕層にまで社会保険が行き渡る現行制度。日本の資産の多くが高齢富裕層に偏っている現状を考えると、例えば、「このお薬、あなたは社会保険ではなく自分のお金で払えますよね。」と、1億円以上の資産保有者に(所得ではない)福祉に少し制限をかけることは可能です。
高齢富裕層ほど民間保険に入り、リスクを担保しているものです。いよいよベーシックインカムが現実に近づきそうですね。

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