林隆春の言いたい放題

2015/02/05

『今月の一言』(2015/02/05)

 2月2日の朝刊は、過激派組織「イスラム国」に拘束されていたフリージャーナリスト、後藤健二さんの殺害記事で3~4面に渡ってあふれ返っていました。 イラクの独裁者、フセインが良くも悪くもかろうじて統制していた少数民族は、フセイン政権が崩壊することでたがが外れ、抑圧されていた積年の恨みが噴出、殺し合うことは誰もが予想したことでした。
テロは貧困と抑圧の派生商品だともいわれますが、貧しさはマイナスのエネルギーを増殖させ、社会に刃を向けるほど人間性を劣化させることは、古今の歴史において嫌というほど多くの事例が証明しています。

 日本でも、戦後、日本に定住・永住を決意した在日韓国・朝鮮のみなさんの不幸、そして、在日外国人への貧困に対する日本国の無関心・無理解・無施策は、さまざまな社会問題を誘発しました。
 日本の生活保護受給世帯の割合は3.1%、在日韓国・朝鮮人世帯では14.2%と日本人の4.6倍、貧困と無関心は彼らのコミュニティを劣化させ、今に至って日本社会はコストを支払っています。

 利益率が高く、大量に残渣の出る優良企業ほどフードバンク活動への関心が弱く、零細な食品業者や弁当屋ほど私たちの貧困者支援活動を支援してくれるのも同根かもしれません。
食の支援で、食べたいものは何かと聞いても、「無い」と答える子供たち。親も食事を楽しむ育ち方をしておらず、栄養知識も無く、お腹がすいたから食べるだけ。
子育ての基本も分からず、命を育むのではなく、食べ物を与え、身体を大きく育てるだけの親が増えていることを、支援の現場は憂えています。
貧困の現場に居る彼・彼女たちの多くは、人生の勝ち組・負け組は戦う前にすでに決まっていると思っています。
私たちの世代は、才能の足りない人は努力で補い、能力に差があっても努力することでそれを越えていくのが人生の醍醐味だという考え方ですが、貧困者の人生観は全く違います。

 介護の現場では、「病名が決められると病気になっていく」といいます。
貧困は物だけではなく、心・精神が貧困になっていき、あるレベルを超えると不可逆性が強まり、人生観として刷り込まれ、次世代に連鎖していきます。
問題の根深さ、回復の難しさは、彼らは環境のみに問題があり、見た目に違和感がなく育ってきているということです、この人たちに障害は無いが、違和感に苦しみ、適応出来ず孤立、付き合っていられない周囲は自己責任で切り捨て、本人は周辺化、まさに「イスラム国」予備軍的な人たちが社会にマグマのごとく沈殿、いつか自然発火するのではないかと支援の現場はハラハラ、ドキドキしています。

 当社は、CSRの一環として、群馬県邑楽郡大泉町の日系人社会のメッカ、「ブラジリアンプラザ」を傘下に入れ、日系人の再生プロジェクトを立ち上げました。
リーマンショック後、日系人社会のレストラン、スーパー、旅行会社などは、日系人が南米に帰国して一気に消費が減り、日系人対象のビジネスが縮小、日本人をビジネスの対象にしていなかったこともあり、倒産や廃業が続出、生き残りをかけて足の引っ張り合い競争でコミュニティの連帯は急速に弱まることとなりました。
そこで、私たちの登場です。
大泉町は、カポエイラの団体フォルクローレ、サンバ、ボサノバ、南米民芸品店、南米専門の旅行社など、ラテンアメリカに関するものなら何でもある、日本で最も身近に南米に触れることの出来る町です。
この特性を活かし、日系人コミュニティのみならず、関東圏のみなさんを大泉町に呼び込み、ラテンアメリカを味わっていただくことは出来ないかと策定中です。
私たちは現在に至るまで、人道的な救済活動がメインのCSR活動でしたが、「目から鱗」の町興しに少々戸惑いつつも楽しいCSR活動が始まりそうです。

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