社長のつぶやき

2014/04/04

『今月の一言』(2014/04/04)

 いよいよ、外国人労働者受入れがポーズではなく真剣に俎上に上がるようになりました。
技能実習生受入れがテーマになった建設業界においては、型枠、左官、鉄筋工などの技能労働者が、1997年の450万人から2013年は約100万人減少。
今後、64~68歳の団塊世代が大量に建設市場から退出しますが、日本人の採用は若い人たちが望まないので難しい状況です。
2020年の東京オリンピックや震災復興事業など需要は目白押しですが、現状でも入札辞退や工期遅れは当たり前、日当が4万円という相場まで出現、やむを得ず技能実習生制度を大甘に解釈、期間限定で大量に受入れることになりそうです。
なにやら、1990年の入管法改正を思い出します。「シーマ現象」とも言われた好景気に、日本人と血のつながりがあるだけで来日可能な配偶者のビザを拡大解釈、「定住者」と名前を替え受入れたその結果、何が起こったのか。
労働者を受入れたつもりが、人間を受入れ、人生を受入れることになった。
なぜ日系人の子どもたちの就学率が低いのか。なぜ90%以上が非正規派遣労働者なのか。
在日韓国・朝鮮の高齢者は生活保護受給率が日本の10倍以上と言われるが、日系ブラジル・ペルー人になぜ生活保護受給者が増えているのか。
なぜ20万人住む愛知県の職業訓練校に1人も外国人がいないのか。
課題は何も解決されていません。

 今回は、実習研修生制度を拡大解釈して受入れようとしていますが、またも建前と本音の議論は見送られました。
入管法は、単純労働者の受入れを認めないのが基本ですが、求人をしても人が集まらない。
コストダウンを元請から要請される下請業者は、本質が議論されない入管法のもと、単純作業者を本音を隠して無理々々受入れるしか選択肢はない。
結果、研修実習制度は教育能力の無い企業が受入れ、育てる力のある企業が受入れることのない、「研修のない研修制度」を引き継ぐことになった。
考えるべきは、送り出し国(中国等)は労働部で、受入れ国(日本等)は経済産業省下の中小企業団体中央会で、最初からボタンのかけ違いでかみ合わないことです。
 実習生は労働者であって労働者ではありません。
最低賃金以下で働かされても文句は言えないし、退職して別の会社に転職する自由はない。
3年で強制帰国するのに、厚生年金、雇用保険をかけることにどんな意味があるのか。
過去数十万人来日して、雇用保険を受給した人を私は知りません。
労働災害の後遺障害を出自国で対応してもらった人がいるのか。
労働基準法違反で企業から差額を実習生に払い戻しても、帰国後、中国での労働契約を盾に、送出し機関にふんだくられた事例がいかに多いことか。
全てボタンのかけ違いから始まっています。

 建設業は重層構造で、労働者の貸し借り(飛ばし)は当たり前、原発の除染では5次・6次下請まであり、誰が本当の雇用主か、働いている人もよく分からないような産業です。
建設業に従事する29歳以下の比率は12%、新規就労者数は細る一方で、60歳以上は20%超え、かつ65歳以上の労働者が約18万人、多くが今後10年で建設労働市場から退出し、産業そのものが細っていきます。
若者はバカじゃない。
給与は工場労働者の約8割、賃金のピークが40歳代前半で、そのうち多くの人が技術レベルが上がるとサラリーマンではなく請負仕事になり、雨降りは休みの変動賃金となります。
職業の構造的課題が何一つ解決されていません。
子育てで一番お金が必要な時に賃金が下がる職業。
体力のピークが賃金のピークに連動する仕組みそのものを見直すことなく外国人受入れを行うと、生活者となる外国人労働者は日系人と同じ運命をたどり、雇用が劣化することは火を見るより明らか、学習効果のない国日本に住む無力感を感じています。

ページの先頭へ