林隆春の言いたい放題

2013/02/05

『今月の一言』(2013/02/05)

 先日、私の友人で元ホームレスの重症糖尿病患者が亡くなりました。
現役のホームレスをしていた時は、血色も良く、元気の良い男性でしたが、生活保護を受け、飽食と運動不足により、急速に糖尿病が悪化、死に至りました。
 身内と縁が切れた彼の亡くなる3日前、「おむつ」を持って行くと、意識は無く、独特の糖尿病臭がしていました。
生活保護費を一週間で食い尽くすあの食欲、それは自殺を意味することは、本人もよく分かっていました。
食事の前のインシュリン注射、色とりどりでたくさんの薬、異常と正常の狭間にあって、食欲ではない心の飢餓、現実からの逃避、精神的枯渇感、そして、なんとも言い知れぬ孤独を感じました。

 私も少し感じる、臓器という臓器全てが少しずつ弱り、崩れていく感覚。
尿として我が身が流れ、とろけていく感覚。
止めようとしてカロリー制限する行動による渇望感とストレス。
糖尿病は、予備軍を含めると2000万人いるという病。
この病を依存で括ると、アルコール依存、パチンコ依存、拒食・過食、携帯電話、DV等と同じ依存なのでしょう。
 リスクを回避したいので結婚しない、子どもを産まない、競争社会もリスク。
糖尿病を「豊かさのツケ」と言う人がいますが、現在の社会システムに対する言い知れぬ不安や焦りが、様々なかたちで依存として現出しているのかもしれません。

 当社グループでは、今年も老人ホームを5棟建設します。
老いを支えるのは、本来家庭が担う作業でしたが、これを他人に任せることは、生老病死全て家族の意思を取り上げる社会を創り出していくことになります。
家族に迷惑をかけたくないからといって、老人ホームに入る人のいかに多いことか。
 当社が成長すると、他社が縮む。誰かが昇進すれば、誰かが昇進できない。人間は無生物で栄養補給は出来ないので、生物を食し、命を永らえる。
いつも誰かを傷つけて命を永らえているから、感謝の心が芽生え、他人の為に働こうとする。
今、流行りの言葉は「癒し」ですが、今の日本に必要なのは「感謝」「感動」であり、未来への成長感、ワクワク感です。
私は、ホームレス支援を20年近くしていますが、心が冷えた、そして心を病んだ人を大量生産する社会に違和感を持っています。

 当社は、株式会社NCネットワーク(http://www.nc-net.or.jp/)に出資させていただき、1月25日の株主総会で、私は取締役に就任することとなりました。
日本は、自民党が復権、経済政策を「アベノミクス」として発表しました。
具体的には、「円高を是正して景気を刺激し、本格的なデフレ対策を打つ」として、無制限の量的緩和、大規模な公共投資を行うとしています。
1980年代の「鉄の女」サッチャリズム、そして、アメリカのレーガノミクスを思い出しますが、事の良し悪しはともかく、舵が大きく切られ、戦いの土俵が形を変えることとなり、労働者派遣法改正、労働契約法改正、そして高齢者雇用安定法の改正等、労働政策も運用に変化が予測され、企業は新たな対策が求められます。
 リーマンショック時、ドイツでは大量解雇、その後、給付金と職業訓練で、次世代産業(メガソーラー、環境、福祉等)に労働者を移動させましたが、日本は、雇用調整助成金で従業員をつなぎ止め、企業も業種転換がかなわず、身動きがとれなくなっています。

 先日、インドネシアの人材送出し業者と懇談し、「どんどん日系企業は進出するが、我々には日系企業担当者と面談して受注するスキルが無い。」と言っていましたが、ある程度の出資、人材の供出、成長も共有する宗主国的なビジネスモデルに、日本の技術者が求められています。
 日本にとっては成熟から衰退に移行する中高年の飽和スキルが、垂涎の成長スキルとして必要とされている国があります。
もっぱら派遣、労働契約法が厳格に運用されると、携帯電話やIT産業等、来週の生産計画もままならない下請や中小企業は、労務費の固定化、そして労働問題で事業縮小・閉鎖に追い込まれるところも出て来ます。上流の元請、一次下請メーカーと連携し、下請メーカーがその技術を生かし、業務請負を吸収すれば、構内外注として価値の高い請負が可能となるでしょう。

 1980年代、サッチャリズムとレーガノミクスで開国を宣言、外国人労働者と外国資本を受け入れたイギリスとアメリカの政策は、今回、日本のアベノミクスにも受け継がれ、「ウィンブルドン現象」がそこかしこに現れるでしょう。
アメリカ通貨のドルが世界通貨で世界の標準言語が英語になったのは、アメリカが世界中から人も資本も受け入れ、いざ海外進出する時、世界のどんな国の人材も自国で採用が可能であったからだといいます。
 明治維新前後、フランスは徳川幕府に資金提供を、ロシアも北海道と交換に資金助力を申出ましたが、勝海舟は断り、日本を外敵から守ったと称賛されました。
イギリスは、鳥羽・伏見の戦いの後、薩長に援助を申し出ましたが、西郷隆盛も断固拒否しました。
150年経って、そのツケが回ってきたのかもしれません。
シュワルツネッガーはどこで生まれたのか、オバマ大統領の父はどこの国の人なのか、こんなことを考えること自体ナンセンスな時代が近づいています。
当社は、NCネットワークさんと一緒に、日本の開国を力強く進めていきます。

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